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届かない手紙、または宛て所に尋ね当たらない書物について
なぜ届かないのだろうか? 宛先が間違っていたのだろうか? 別人に手渡されてしまったり、なんらかの事情で届けることができなかったのだろうか? それとも、 DMのように、宛名人には手渡されたのだが、当人はそれを自分宛てと思わなかったのかもしれない。そんな手紙は届いたことになるのだろうか? こう考えると、「届く」ことがそれほど簡単なことではないことに気づかされる。恋文は聞き届けられるとは限らない。メッセージを確実に届けようとすればするほど、それは紋切り型に近づき、届けたいものではなくなってしまう。手紙にとって宛先は不可欠でありながら、届くかどうかは定かではない。書くという営みが成就するといえるのは……
FACILITATOR
MORI
HIDEKI
森秀樹
兵庫教育大学社会系教科マネジメントコース教授
専門は、哲学・倫理学。ハイデガーを中心に近・現代哲学を研究。自己と他者の絡み合いや文化の生成について考えているうちに、始まることって何という創発の沼にはまり込み、どこにも辿りつくことのないまま彷徨中(フラヌール)。市民性教育の一環として、教室の中での対話を促進する「哲学対話」にも取り組む。
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